交流型イノベーター(報告書:内閣府経済社会総合研究所)

『イノベーティブ基盤としての産業人材に関する研究会 最終報告書』
(内閣府経済社会総合研究所)
http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou070/hou070.html
(概要「内閣府が提唱した「交流型イノベーター」という身近なヒーロー」 http://www.huffingtonpost.jp/katuhiko-okamoto/comunication_innovator_b_6948862.html )

 

交流型イノベーター

こちらに私が普段行っているような概念「交流型イノベーター」というありました。
非常に納得いくものがある一方、再現性の部分で強烈な違和感が多数。
残念。

最初のイノベーターへのインタビュー内容は面白く、勉強になります。
また交流型イノベーターへの定義も過不足なく素晴らしい。

交流型イノベーターとは異なるコミュニティに属する多様なメンバーがつながりを築き、様々な 視点・能力をもち寄って、目的を共有した上でシーズ・ニーズの発見と新たな製品・サービスの創造(既 存の製品・サービスの再定義を含む)に取り組み、実際に顧客・市場へ届けることで何らかのインパクト を社会へ与えるという一連のプロセスを一気通貫で行うことができる人材あるいは人材の集団である。

 

 

>また、交流型イノベーターは様々なコミュニティ(地域・ネット上・人脈・社内/社外など)を活用 し、企業同士の連携や社内の連携、そして社内個人と社会の連携などを生み出すことを通じてイノベーシ ョンの創出を行う。そのためには、様々なコミュニティをつなげること、課題発見・解決のために異なる 視点・能力をもった人材を参画させること、新しい発見・発想の転換・気付きを促すこと、必要に応じて 当該コミュニティの外に発信することなどが求められる。このような新たなつながりを生み、新たな気付きを通じて変化を促すためには、コミュニティや人々の触媒となる人材も必要である。触媒となる人材の例としては、「ハブ人材」や「異種人材」が挙げられる。

 

「ハブ人材」とは、複数のコミュニティに同時に関わり、多くの人脈をもつと同時に、必要な人と人をマッチングするような役割を果たす人材である。このような人材は、同質性をもつコミュニティが異質なコミュニティとつながるきっかけを提供すると同時に、異なるバックグラウンド・理解をもつ人々の仲立ちとなってコミュニケーションを円滑化する役割を果たす。

 

>また、「異種人材」については、そのコミュニティに属するメンバーとは異なる経験・知識・ 視点などをもち、イノベーターが新しく意外性のある視点・発想に気付くきっかけをもたらす人材である。このような交流型イノベーターが中心となって様々な要素をつなぎあわせて創出するイノベーショ ンが交流型イノベーションである。(P20)

 

異分野の人に話をつけるために、、

しかし、なぜ「交流型イノベーター」なのか?にはあまり答えていない。
いきなりジャンプ。
(なぜそう思い至ったのかは一次報告書に記載されているが長すぎる。)

例えば、
・交流型以外ではどんなイノベーターがいるのか?
・それとの違いは?
など疑問多数。

ここがしっかりしてないと、
こういう事を大事と思っている人達にしか話が通じない。
(それこそ異分野に発信できない。)

私が現時点で困ることの多くは、
別分野の人に「イノベーション」や「コミュニティ」「ダイバーシティ」を
伝える事です。

別分野の人達にはその知見がないから
「イノベーションのために、なぜ失敗をしなきゃいけないの?」とか、
「近所に挨拶をして弊社のKPIに何の意味があるの?」とか
そういうことに一つ一つ答える必要があります。
それでもイメージしてもらうことが難しい場合があり、難しい。

アカデミックや政府の報告書で後押しがあれば非常に嬉しいし、
きちんと理論化されていると説得に使いやすいです。
この報告書ではその部分が少ないので残念でした。

 

それと、本来トレードオフであるAとBが
一緒に併記されているのも気になる。
下記はその一例。
「厳しい部分も必要」と「嫌われるな」が併記されている。

「いいと思ったものを多数盛り込んだ」なら
 個別最適のバラバラな組み合わせで現時点でない。

「バランスの問題だ」とするなら、
 それを「どうやってバランス取るの?」かが
 書かれていないように見受けられる。

>「交流型」と言った場合、「人間関係の心地よさ」「居心地の良さ」「仲の良さ」などが必要と考えられる場合が多い。しかし、単に心地よい関係を目指すだけではなく、共有された目的の達成を目指して相互に厳しさも併せもった関係であることが必要である。(P23)

 

>「優しい天才」とは、普通の人の感覚をもち他人の話をよく聞きながらも、口を開くとすごいアイディアが出てきて、かつ、人を幸せにすることを一番に考えるという視点をもっている人間である。(中略)特に小さなコミュニティ(地方の地域)などにおいては、「浮いてしまうこと」「人に嫌われること」はイノベーションの遂行を著しく困難にするため、このような姿勢をもつことが、成功の大きな要因となる。(P25)

 

イノベーションに失敗はつきもの

最後に致命的な辛いところは、、
イノベーションには失敗はつきもので、どれだけ失敗を重ねるかが大事。
(その失敗自体はリスクを最小化する事が可能)

新規事業リスクの抑え方

しかしこの報告書では

>事業を失敗させずに、継続させるためには、基本的な経営管理の力をもつことが重要である。(P24)

と記載されている。
些細な書き方のミスかもしれないけれど、
ここで「事業を失敗すな。それは前提。」としているのは
非常に違和感があります。

ここに書かれているのは「理想論」で実際に使用するのは難しい。
と判断しますし、
きっと私が説明に苦労する人達からもそう言われると思います。

偉そうに述べてしまいましたが、
私自身、こういう概念自体が広まるよう努力しつつ、
さらなる研究に期待します。

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